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ミハル・アイヴァス『もうひとつの街』

ミハル・アイヴァスをはじめて読んだ。もっと早くに出会いたかった。SFとはサイエンス・フィクションのことで、でもスペキュレイティブ・フィクション=思弁小説とあてることもあるようで(どこかからの引用)、でも、そのとっつきにくさ(でもあり、とっつきやすさでもある)やエンターテインメント性とは別に、根源的に人にとって切実に必要な読みものである気がする。

自分は積極的に「SFが読みたい!」とは思わないけれど、たまに読むとぞっこんになることがある。「人にはありえない視点を思い、思うことでそう視ることができる」。この経験は、生きるうえでぜったいに必要だと思う。わたしは、それは、はみ出しものの存在につよく救われるのだと思う。はじめからある方向性を提示され、集団のなかで上手に生きる術を術として割り切って学ぶことが必要な世の中にあって、「はみ出してなおここで生きていける」者がいると思えることは、何かの渦のなかにいるときにとても頼りになる。こどもがどれだけ物語を好きか、救われているか、夢中になるか。

 

たとえば夜という生き物が流れていて、そこにからまりまつわってくる、わたしたちは夢かもしれない。主役が入れ替わり、「見られている」「思われ、突き動かされている」その感じにどきどきする。一生を棒にふってもいいと思う。一生を棒にふっても、その影ににおいを嗅がれたい、その尻尾に反応されたい。もっと早くに会いたかった。会いたかった。

 

 

もうひとつの街

もうひとつの街