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深澤直人『デザインの輪郭』 歩く輪郭

 〈目的〉と思っていたことは実は〈手段〉だった。

いつも早めの段階でそのことに気づき、または恣意的に、場当たり的にそうすることで自分をコントロールして前を向かせる(前がどこかを決める)こと。自分にとってはこういったことが大事なポイントかなあと思えてきました。

何が〈目的〉で何が〈手段〉か、そういうのはてきとうに決めちゃっていい気がします。

  

デザインがどんどん生活をよくしている

なんていうことはないと思います。

デザインは、常にそこにある状況をよくしているだけであって、

歴史的に、時系列的にどんどんよくなっていると思ったら大間違いです。

 

自分がいて、自分を主体として感じていること・感じとれないことすべてを、〈情報〉としてひとくくりにする感覚も大事。

答えも正しさもない、あったとしてもそれはその時代の戯れごとといえる。でも、よりいい答えや正しさ、〈妥当〉があると信用してみる感覚を携え、自分の仕事をみつけ、切り開いてゆたかにすること。

 

デザインは情報と親和性がとても高い〈技術〉であり〈方法〉です。深澤直人が考えたことのひとつに、主体が「消える」ことでこそ生きるもの・ことという現象があります。

それは、生きることとはほかの何かを「消す」こと、または別の面からみたら、生きることは「死ぬ」ことである、ということにリアリティを感じていたからかもしれません。表裏一体であること。

 

 

本のなかでは選択圧、適合圧という言葉が出てきます。

次世代への生き残り易さのことを〈適合度=fitness〉というそう。

アフォーダンスという言葉をよく聞きます。これは生態心理学に基づいているといえるらしく、おっ、おっ、と糸をたどるような感覚で読みました。

 

●「何か」について考えていて、〈張り〉というキーワードが降りてきた

   ↓

〈張り〉〈HARI〉というテーマでワークショップをひらく、デザインを考えると決める

   ↓

「自分にとっての〈張り〉とはなにか」とさらに掘り下げる。

〈張り〉とは「あの人は張りがあるよね」の〈張り〉です。

 

〈張り〉を考えることによって深澤さんが気づいたこと(=出した答え)は

〈張り〉の〈ある〉ような造形をやめる。

ということ。

 

なぜなら、〈張り〉自身は〈張り〉のある状態になれない、と気づいたからです。〈張り〉とはいつも外側の要因によって定義され、そういうことになるもの。

 

●この経験が進化して降りてきたキーワードが、〈without thought〉=考えない。「考えない」という言葉にすると誤解しがちだけれど、「考える」ことによって「死角にしてしまう、考えられないもの」が必然的に出てきます。深澤さんはそれを避けたかったのだと思います。

そうして、傘を立てるための〈溝〉を考えました。

〈行為に溶けるデザイン=デザインは存在し、目的も果たしているが、物体は消える。〉

というもの。

傘を立てるために、傘立てを新たにつくるのではなく、この溝を利用して立てかければいい、と無意識的に人が感じるような仕組みに落とし込んだのです。

 

デザインというものはなくても、人間は既に、環境にあるすべてのものをその状況に応じて価値に変換している。

 

優れたデザイナーたちは、既にものを多面的に捉え、生活の中の微細な関係の美を探し出し、デザインに落とし込んでいる。

 

ジャスパー・モリソンのデザインした一本脚の丸テーブルがあって、パイプの脚が途中できゅっと細くなっているんですね。彼がどう思ってそれをデザインしたかっていうと、どこかのカフェで、眼鏡をはずしていて、ぼーっと見ていたカフェテーブルの脚に斜めに光が差し込んでいて、光の当たった部分が細く見えたんですね。そのままのかたちを「いいな」って思って、テーブルの脚にしたんだそうです。そのかたちを成した意味っていうのは、あらゆる人にとって関係なく、たまたまその光景を見たからで。それがとてもいいんです。

 

本人はその、すっと細くなるということを結びつけたわけです。

 

 

言葉にできない問題、〈ほんとうは〉考えたいこと、そういったことがたくさん、ある。

自分がいま関わっていることについて、何がどうなるか分からないけれど、でも、場当たり的に試してみて、提示して壊し、感覚を揺さぶり、そのなかで自分が生きやすくなること、そういうことって必要だ、と思いました。

そして次に行くために・または系を出るために、プロセスやシステムを注意してみてみたい。そんなことを思います。

 

 

デザインの輪郭

デザインの輪郭