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hidden design

大阪市で働くデザイナーのブログです。ポートフォリオ→https://hiddendesignsite.wordpress.com/

渡邉恵太『融けるデザイン』ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論(覚え書き2)

自己帰属感のポイントは「抵抗」「拮抗」

 

いま、デザインするときに気をつけたいことは、自己帰属感。

●自己帰属感

○自己帰属感とは「これはまさに自分のものである」という感じ。

○自己帰属感のキーワードは「透明性」「道具性」「サクサク感」「他人」。

「透明」になり切らない。自己への帰属が高いながらも、すこしだけ抵抗がある。

○自己帰属感に秀でたものの例は「手」。手は、触発されるものでも指令されるものでもなく、制御されるもの。

○自己帰属感は、身体と環境というレベルでも起きている。わたしが世界を見ているという感覚を立ち上がらせる装置が身体には備わっている。
視ることのなかに、世界と自己を同時に知覚する。それは、世界に自分が参加している感覚、生きているよろこびのひとつといえる。

 

 

これからのインターフェイスデザインは?

 

●何かつくってみることで、文脈依存の高い、メタファにない新しい概念が生まれることはまれではない。Twitterなどがその例。

 

●コンピュータを使用する場面は変化していく。

ブラウザ(仕事用。コンピュータを使うときはブラウザに向き合って)からアプリケーション(スマホでの使用。実生活に入り込んできた)。

これからは、アプリケーションから実世界へ。

文脈が生活中心になっており、非拘束性の設計(「(ゲームなど)いつでもやめられる」ような設計)がすでに多くとりいれられている。

 

インターフェイスの役割について。暗黙的な行為を形式知に変える役割もインターフェイスデザインはもつ。

ユーザーの行為の意味を解釈するのは設計者であってコンピュータではない。

インターフェイスは操作や行為を提供し、操作と行為のログデータが意味をもち、その記録は「センサ」とみなすことができる。


●デザインとはインターフェイスを考えること。また、価値の輪郭を定義すること。

 

●物の属性(技術)と人の属性(知覚)を理解した設計が重要。


●ここまでくると、「モノ」という考え方がよくないのでは?という疑問が出てくるはず。

人間は行為する存在であって、時間軸がある。

たとえば…同じ部屋に人と「カップ」という「モノ」がある。

人がカップを掴んで飲む前から、カップの存在はあり、カップは使われる行為の可能性を備えている=「カップの持続」。

「モノ」というより「コト」「体験」をデザインとして受け止めている。「モノ」であっても「コト」であっても、「体験」によって感動やよろこび、その人にとって意味のあることを得ているということがポイント。

 

●人の「体験」にとって、物質と情報の違いはその持続性の在り方。

 

●これからは、メディアそのものをつくることがインターフェイスデザイナーの仕事になる?

でも、メディアは実はなくなるのかもしれない。

メタメディアとインターネットの組み合わせでメディアはたった1つになった可能性がある。

 

●乱暴な言い方をすれば、何をやっても新しいし、何でもやらなければならない。やらなければその可能性すらわからない。

例 Arduino、MITのDemo or Die Makeの「とにかくつくる」…

 

イデアを動かして体験することが大切。

 

 

感想

D.A.ノーマン『誰のためのデザイン?』をあわせて読みました。UXもUIもここで(また、もっと前に)すでに言われていること。

そして、「その時代の文脈をどう感じ取り、どれだけ失敗し、どれだけインスピレーションとなれるか」ということをシンプルに考えていくことが大切なんだと思います。

・さまざまな制御を利用すること。デザインとは制約をいかに加えるかということ、と置き換えてもいい。

・失敗、エラーは必ずあるもの。これをどう可視化しユーザー自身が使いこなしていけるように、またストレスを加えないように工夫するか。

この、「失敗、エラー」というのはとても細かくある。エラーを正当化してしまう、社会的圧力に負けてしまうのが人間の心理。

・可視性、フィードバックを利用し、ポイントとする(いついかなるときにも、その時点でどんな行為をできるのかが簡単にわかるように「制約を利用」して示すこと。また、現在の状態を評価しやすくするために可視性を考えること)。

・ユーザーの行動はいつも、望んでいることに少しずつ近づこうとする試みであるという理解は大事。

・アンカー、トリガーの法則もポイント。意図とその実現に必要な行為の対応関係、行為とその結果起こることの対応…自然な対応づけを尊重し、それに従うこと。

 

思ったのは、

・科学や人文の合わさるところにデザインがある。

・「道具」「モチーフ」「アイデアそのもの」としてデザインがある。

ということ。

・「進化している」と思いたがりがちだけど、そんなことは別にないんじゃないか。「止まる、戻る」という選択も大事(ただ、妙な「信仰」っぽくなるのは思考停止)。

 

 

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

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誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

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